乳腺外科
乳腺外科
2012年12月 1日
一言に乳ガンといっても様々な種類があります。見かけが違えば、それに伴い性質も異なります。病理型といわれる種類に関して少し触れます。
DCISと呼ばれる乳ガンがあります。この乳ガンはステージ0でほぼ100%治るため、超早期乳ガンと呼ばれます。しかし細い糸のように乳腺の中で広がる傾向があり、乳房の温存が難しいという特徴があります。早期なのに温存できないことが患者さんに理解してもらえない、医者泣かせのガンでもあります。
Micropapillary carcinoma(微小乳頭癌)とよばれる病理型の乳癌では、非常に早期から転移を起こしやすいという性質があります。したがって多く抗がん剤の適応となります。
Invasive lobular carcinoma(浸潤性小葉癌)と呼ばれる種類のガンは、乳腺の中で多発する傾向があります。一見温存できそうな状況で見つかっても、反対側の乳腺もがんで侵されていた、ということがあるのもこのガンです。
Mucinous Carcinoma(粘液癌)という種類のガンは抗がん剤が効きにくい特徴があります。したがってこのガンは化学治療から治療を開始することはせず、まず切除になります。
ここに述べた以外にも治療に影響を与える病理型の種類があります。主治医が説明しますので、よく聞いて理解しておきましょう。
そしてその意味からも、他人のガンと自分のガンは違う、という原則を理解してほしいのです。
ガン細胞がホルモンレセプターという分子を持っているかどうか、HER2遺伝子が作り出すタンパクを持っているかどうか、で下記の4つの分類があります。
そしてこの分類によって、さらに治療方針が影響を受けます。
まずガンの診断はついているとしてどのようなガンか?も検討されます。抗がん剤が効くか、病理型はなにか、など"ガンの精査"をします。これには2週間かかります。そこで初めて治療開始となるのですが、乳癌の治療はおおきく4つに分かれます。
1.手術
2.放射線治療
3.抗がん剤(化学治療)
4.ホルモン剤です。
この4つがさまざまに組み合わされて治療を形成します。
文責;広島総合病院 乳腺外科 主任部長 船越真人