本院のホームページにアクセスくださり、誠にありがとうございます。令和4年4月より病院長を拝命しております石田和史です。昭和61年広島大学医学部を卒業し、昭和63年4月から糖尿病専門医を志して広島総合病院へ赴任しました。それから今日まで、一度も転勤を経験することのない希有な経歴の勤務医生活を送ってまいりました。情熱溢れる糖尿病指導医との出会いや、非常に頼りになる多くの糖尿病療養スタッフに囲まれる幸運に恵まれ、県下最多の糖尿病診療実人数を有する施設として平成25年2月広島県初の糖尿病センターを開設させていただきました。病院長職は私にとって大変な重責ですが、これまで私を育てていただいた病院・先生方・スタッフ、そして患者様や地域住民の皆様への恩返しを胸に、精一杯務めさせていただいております。
本院は昭和22年に農業会佐伯病院として開設され、その後に広島県厚生農業協同組合連合会 「廣島総合病院」に改称されました。昭和54年と平成12年の大規模な増改築などで増床を重ね、平成12年には578床の広島西二次保健医療圏最大の中核病院に成長しました。その後は医療情勢の変化に応じてベッド数を減らしましたが、地域の急性期医療に対する責務は以前よりも増していると考えております。令和6年春には屋上にヘリポートを有する8階の新棟(南棟)を建設し、より迅速な救急医療体制の強化、手術室や血管造影室の拡充、画像診断・臨床検査部門の集約化、最新鋭の放射線治療装置の導入、妊産婦様の安心・安全性を高めるための産婦人科外来と病棟のワンフロア化、などが実現し、広島県西部地域の皆様の生命と健康をワンストップで守る環境がバージョンアップしました。また正式名称も、より身近な存在となるよう令和6年4月1日付けで「広島総合病院」に改称致しました。
コロナ禍で一時的に利用者の減少がありましたがその後は回復し、令和6年度の外来患者数、延べ入院患者数、手術件数はそれぞれ226,881人、149,644人、4,905件であり、引き続き多くの患者様にご利用頂いております。
本院の地域に果たす主な役割は、地域支援医療、救急医療、がん医療、がん以外の疾患に対する診療、保健・福祉活動です。
●地域支援医療
平成16年に広島県から「地域医療支援病院」の指定を受け、広島西二次保健医療圏で第一線の地域医療を担う佐伯地区医師会、大竹市医師会, 広島市佐伯区医師会のかかりつけ医と密接な連携を取りながら地域完結型医療を総合的に推し進め、地域の保健・医療・福祉を強力に支えてきました。令和2年度の紹介率と逆紹介率は,それぞれ123.5%、110.7%という非常に高い数値を示しています。また、平成23年には「へき地医療拠点病院」の指定も受けており、へき地における医療の維持も担っています。
●救急医療
「二次救急医療指定病院」として古くから広島西二次保健医療圏における急性期医療の中核を担ってきました。とくに平成23年の地域救命救急センター開設以降は、二次救急医療に加えて、心肺停止、重症脳血管障害、急性心筋梗塞及び心不全・多発外傷などを中心に三次救急患者への速やかな高度医療の提供を24時間体制で行っておりましたが、令和6年6月からは南棟屋上ヘリポートの運用が始まり、島嶼部・山間部からの緊急搬送や広域災害時の救急対応も可能となりました。令和6年度の救急車搬入件数は5,035件で、地元自治体人口当たりの搬入件数としては広島県内第一位とご評価いただいております。また、「災害拠点病院(平成9年指定)」として大規模災害に対応できる体制を充実させるとともに、専門的な訓練を受けたDMAT(災害派遣医療チーム)を編成し、遠隔地の災害にも派遣しています。さらに、令和2年4月からは病院内に地域医師会の先生方のご協力で運営される「廿日市休日夜間急患センター」を併設し、一次救急医療からの円滑な入院受け入れも可能となっています。
●がん医療
平成18年に高度専門医療と医療機器の提供が必要とされる「地域がん診療連携拠点病院」の指定を受け、健康管理センターによるがんの早期発見システムをはじめ、最先端・最新鋭のがん診断・治療設備、専門知識と技能を有する医師や診療従事者をフル稼動させて、高度な集学的治療、標準的治療、低侵襲手術、外来化学治療などを行って参りましたが、このたびの南棟オープンに合わせてロボット手術(ダヴィンチ)も始まり、患者さん・執刀医により優しい手術件数が着実に増加してきています。さらに、最新鋭の放射線治療装置の導入によって、幅広い選択肢を持つがん治療が行える診療環境が整いました。また、令和2年1月には遺伝子診療部を開設し、がんゲノム医療への取り組みも行っております。
令和6年の院内がん登録数は1,841件、がんの手術件数1,336件、薬物療法のべ患者数1,550人、放射線治療の患者実数284人と年々増加しており、緩和ケアやセカンドオピニオンの提供体制も整えております。
●がん以外の疾患に対する診療
糖尿病や慢性腎臓病などの生活習慣病、消化器、循環器、呼吸器などあらゆる疾患に対して高度専門医療を提供しており、下肢血行再建・鼠径ヘルニア・脊椎関連など国内有数の手術実績を残している分野も多数あります。詳細は診療科・部門一覧をご覧下さい。
●保健・福祉活動
医療福祉支援センターでは退院後の療養生活の不安を取り除くため、患者さんやその家族の相談に対し各専門職が対応しています。在宅での生活を希望する患者については、併設の訪問看護ステーション、居宅介護支援事業所が在宅での生活をサポートしています。また、疾病に対しての予防や治療法への理解を目的に市民公開講座を開催し地域社会貢献に取り組んでいます。また当院には健康管理センターを併設しており、人間ドックや職域・JA組合員などの皆様を対象とした健診活動にも取り組み、疾患の早期発見・受診勧奨にも力を入れております。
本院が目指すのは広島西部地区で日本最良の医療を提供する事です。地域住民の皆様、診療所の先生方、そして急性期病院での医療を志す医療従事者・学生の皆様に「選んでいただける病院」をスローガンに掲げています。ハード面では、南棟が完成した後も既存棟の改修を続け、動線短縮も意識したより安全かつ効率的な医療が提供できる環境整備を行ってまいります。またこれからの時代は医療業界も深刻な人手不足が予想されますので、DXなどを用いて働き方改革の時代に相応しいソフト面での職場環境向上にも取り組み、地域の将来を託す人財の確保にも努めてまいります。「現状維持は後退である」ことを肝に銘じてこれからも邁進して参りますので、皆様の更なるご支援、ご鞭撻、ご協力を何卒よろしくお願い申し上げます。
令和7年4月
病院長 石田和史
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