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耳鼻咽喉科

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暖かくなってきたら降ってくるものは・・・?

2020年1月 1日

なぞなぞです。「氷がとけると 何になるでしょうか?」

・・・「水に決まっているじゃろ!」とお答えのあなた。きっと大変まじめな素敵な方です。

・・・「春になる!!」とお答えのあなたは少しロマンティックな寒い国のお人か、いじわるなぞなぞに慣れた世渡り上手な方でしょう。

それでは「暖かくなってきて雪の次に降ってくるものは?」と問われると、今のご時世 天気予報でも降雪や低温の注意情報がなくなってくると次にあらわれる注意情報は花粉の飛散予報となってきましたので、ほとんどの方はピンときて「それは花粉(スギ花粉)じゃろ!」とお答えになると思われます。もし、この答えがそれこそピンとこない方は花粉症(スギ花粉に対するアレルギー症)のない幸せな方かもしれません・・・。

花粉症への対応は、ほかの吸入アレルギーと同じで①体(目や鼻の粘膜や皮膚)に接触させない(外出をひかえ、マスクやゴーグルを使用する。付着したものを室内へ持ち込まないように衣類や布団のケアするなど)が基本で②薬物治療はアレルギーによる過剰な症状を抑える(抗アレルギー剤、抗ヒスタミン剤、ステロイドホルモンなど)が中心です。

最近の薬物は副作用(眠気など)が少なくなり効果(くしゃみや鼻漏の軽減 鼻閉の改善)がよくなったため①②の組み合わせでかなり乗り切れるようになってはいると思われますが薬物治療でコントロールできない場合に③手術治療(レーザーや電気による鼻の粘膜を焼灼する手術や腫脹した粘膜を切除してしまうなど)で、反応を行う場所をこわしてしまう対応を行わざるを得ないこともあります。残念ながら目や鼻の粘膜を全部焼いたり壊したりはできないため完全に症状をなくしてしまうことはむつかしいのが実情です。

ところでアレルギーを治癒と呼ばれる状態にするにはアレルゲン免疫療法と呼ばれるものがあります。これは体内への抗原の注入によって、局所や全身の免疫性を高めて、局所での反応を低下させようというものです。実はこの治療は新しいものではなく以前から「減感作療法」という名称で皮下投与法(いわゆる皮下注射)にてハウスダスト(HD)やスギ花粉など製剤化されたエキスを1週間に1度注射を行い、低濃度から徐々に増量して維持量となれば月に1度くらいで継続する方法で行われているものです。

効果についての報告には多少ばらつきはありますが、スギ花粉症に対しても約80%くらいの有効性の報告もあります。この治療の難しい点の一つは維持量の確認まではほとんど毎週1回くらいの受診が必要で、学校や仕事の時間をかなりやりくりしないといけないというものです。しかも受診のたびに痛い注射を受けなければならないのも治療とはいえ通院をおっくうにするものと考えます。

医療的な問題としては、副作用としてアレルギー反応が強く出すぎるとショック症状を生じるようなリスクもあることやがんばって維持量まで到達しても治療効果があまりでない場合もみられることがあります。また、最近の症状を抑える薬物療法(②)が眠気などの副作用が軽減され1日1・2回の内服で効果が維持できるため 特に花粉症のみでおこまりの方には限定された期間のみの薬物服用や点鼻薬の使用ですむようになっため一時はかなり多くの施設でもこの治療を行っていましたが、最近は減っていると思われます。

ところがこの1月(2014年1月17日)にスギ花粉症を対象とした、アレルゲン免疫療法薬の注射薬ではなく口腔内の粘膜から投与する薬剤の日本国内での製造販売承認がなされました。(鳥居薬品株式会社「シダトレイン®スギ花粉舌下液」)これにより今までの注射と違って痛い思いをせずにアレルゲン免疫療法が行える環境ができたことになります。ただし、前述したように維持量に達するまでにはある程度の期間を要しますので、この「診療科ニュース」を見られた時期からでは残念ながら今年のシーズンには間に合いそうもないのですが・・・。ただ、アレルギー反応による副作用については注射薬と同様に生じる可能性はありますので、十分に管理可能な病院・医師の下で行われる必要です。

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