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気管挿管とビデオ喉頭鏡の導入

2014年6月 1日

一般の方はご存じないと思いますが,患者さんの全身麻酔管理にあたって,確実な気道確保法として気管に専用の気管チューブを挿入(気管挿管と呼びます)が広く行われています.この気管挿管操作では,喉頭鏡(のどの奥を照らす懐中電灯のような器具)で喉頭・声帯を直視し声帯を越えてチューブを挿入します.

図1 喉頭鏡による喉頭展開の概念図
(青山和義;必ずうまくいく!気管挿管
羊土社より引用)

図2 ファイバースコープガイドによる
 気管挿管風景

ところが実際の臨床現場では,少数の患者さんでは直視で声帯を確認することが困難な場合があります.また,頚部に障害があって後屈が望ましくない症例もあります.以前でしたら気管支ファイバースコープしか選択肢がなく,基本は眠ってもらう前に患者さん自身の呼吸を残した状態で局所麻酔を併用しておこなっていました.

広島総合病院では,気管挿管にあたって,通常の病院で準備している喉頭鏡や気管支ファイバースコープ以外に,ビデオカメラのついた喉頭鏡(以下ビデオ喉頭鏡)も複数揃えています.これらの機器により,特殊な患者さんを除いて入眠してから気管挿管を行うことができるようになり,気管挿管できないために手術を中止することは過去のものとなりました.
一部を紹介しますと,LS-7(通常の喉頭鏡に後付けで装着します), ラリンゴビュー(通常の喉頭鏡に内視鏡用カメラが装着できるよう光学系を改良したもの)は操作性が通常の喉頭鏡とほぼ同じです.

図3 喉頭鏡に装着したLS-7         図4 ラリンゴビュー

GlideScope(外部ビデオモニターをみて挿管するタイプ.10年前に広島総合病院に我が国では最初に!納入されました)以後,GlideScope GVL(薄型,小児用などラインナップの追加), GlideScope Cobalt(先端部分カバーのみを滅菌できるタイプ)も導入しています.AirwayScope(日本で開発された.画面をみて挿管する.気管チューブガイドつきで頚椎にも優しいことから,現在では救急現場での救急救命士による気管挿管にも認可されています)KingVision(AirwayScopeに類似していますが,画像が鮮明です).

図5 GlideScope                図6 エアウエイスコープ

図7 King Vison

McGRATH MAC (マッキントッシュ型喉頭鏡に類似した操作性でパーソナル型として急速に一般病院へ普及が始まった)

図8 McGrathMAC

図9 開発者のMatt McGrath氏と
  (日本麻酔科学会学術集会にて)

日々の麻酔管理にあたって,患者さんに優しい医療の提供を心がけ最新機器も適切に駆使できるように研鑽しています.

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