中央放射線科
中央放射線科
2013年2月15日
急性冠症候群は、不安定狭心症、急性心筋梗塞、心臓突然死を病気の発生原因をもとにまとめた概念です。急性冠症候群は、動脈硬化により心臓に酸素と栄養を供給している冠動脈の壁内に脂質の塊(プラーク)ができ、プラーク表面を覆う薄い膜(被膜)が突然、破れプラークの内容物が血液に触れて冠動脈内に血の塊(血栓)ができ、冠動脈の血流が少なくなる、または血管が閉塞することによって起こります。心筋の虚血に伴って強い胸痛を生じ死に至ることもある危険な状態です。
心臓の検査には、心電図、心エコー、冠動脈造影、シンチグラフィー、MRI、CTなどの検査が行われていますが、冠動脈の形状を直接調べられる検査は、冠動脈造影、心臓MRI、心臓CTのみです。今回は、当院で行っている心臓CT検査について述べます。
心臓CTは、冠動脈造影に匹敵する詳細な画像が得られ、プラークによる冠動脈の狭窄や閉塞の診断ができます。さらに、急性冠症候群の原因となる冠動脈の壁性状の評価も可能で治療方針の決定に役立っています。
▲心臓CT画像では左冠動脈の狭窄とその部位の冠動脈壁の観察ができるが、冠動脈造影ではCTで指摘された部位の冠動脈壁は描出できない(矢印)。
▲症例1、2ともにCT画像で冠動脈に強い石灰化(↑)があり、冠動脈狭窄の有無は判定困難である。冠動脈造影で矢印(↑)の部位に、症例1では冠動脈狭窄を認めたが、症例2では狭窄を認め無かった。
当院では、現在まで4700症例(2005年5月~2013年1月)の心臓CT検査を行っていますが、重篤な副作用例はありません。検査中はスタッフが様子観察を行い、安全な検査が出来るように体制整備を整えていますので、安心して検査をお受け下さい。