内視鏡センター

概要・診療方針

概要・診療方針

消化器内科は、食道、胃、腸、肝臓、胆嚢、膵臓などの臓器の病気を診療する内科です。内科の中でも病気の種類がもっとも多い分野で、数多くの患者さんがいらっしゃいます。消化器内科では内視鏡機器や超音波機器などの最新機器が活躍します。これら機器を使えば患者さんへの少ない負担で最大の治療効果をあげることができるのです。

2017年9月、消化器内視鏡部門を中心として診療を行う内視鏡センターの各種内視鏡機器が更新されました。最新の特殊光撮影を可能とした機器やカプセル内視鏡をそなえ、充実した診療体制となりました。広島総合病院消化器内科では、これらの機器を使って最先端の医療を提供しています。また、吐血に対する緊急内視鏡検査などにおいても、地域医療に大いに貢献しています。
広島総合病院消化器内科は、地域でも評判の良質な医療を提供しています。

診療内容

上部消化管

食道や胃の主な疾患としては、食道癌、GERD(逆流性食道炎)、胃炎、胃癌、胃潰瘍と十二指腸潰瘍などがあります。最近のこの分野での話題は、診療実績にもあります内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)です。これは早期胃癌などに対して胃内視鏡で切除する方法で、大きなものまで切除できるメリットがあり近年急速に認知されるようになって来ました。しかしながら高度な内視鏡技術が必要であり限られた施設でしかされていないのが現状です。当院ではこの方法により胃癌の治療をおこなっています。

また、最新の特殊光による観察で、極早期の病変も発見可能となっています。また、カプセル内視鏡での小腸や大腸の疾患の発見にも取り組んでいます。

もうひとつの話題はヘリコバクターピロリ(通称ピロリ菌)です。ピロリ菌は人間の胃の中に存在できる唯一の細菌で、胃潰瘍やひいては胃癌までさまざまな病気と関連があるといわれています。当科では、最新のピロリ菌検査である尿素呼気テストをはじめ、さまざまな検査が可能です。さらにピロリ菌の除菌治療にも積極的に取り組んでいます。 その他、胃癌や食道癌で食べ物が通らなくなる状態を治療するステント治療も患者さんのQOL(生活の質)改善のために積極的におこなっています。当科ではこれら最先端の診療技術で診療にあたっています。

肝臓

肝臓疾患としては、脂肪肝(NASH等)、急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変や肝癌などがあります。慢性肝疾患の原因としては、ウイルス性肝疾患、アルコールや免疫および代謝異常などが考えられます。ウィルス性汗疹間の分野での最近の話題として、C型肝炎やB型肝炎に対する核酸アナログ製剤やインターフェロンによる治療などがあります。当科はこれらの治療を積極的におこなっています。

肝癌の最新診断方法として造影超音波検査やプリモビスト造影MRI検査などがあります。私たちはこれらの診断法を最新の機器で実施し臨床の場で活用しています。肝癌に対する治療面では、肝動脈塞栓術、リザバー治療やラジオ波焼灼療法を選択組み合わせておこない最近の治療成績は著しく向上しています。最新の癌化学療法(分子標的薬剤)なども積極的におこなっています。

もうひとつの話題はNASH(非アルコール性脂肪性肝炎、ナッシュ)です。今話題のメタボリックシンドロームの消化器疾患での表現型でもあります。内臓肥満と深い関連があることを実証しました。当科ではNASH診断に必須となっている肝生検を施行し確定診断のもと適切な治療を行っています。全国でも有数のNASH診療実績を誇ります。

胆道・膵臓

膵胆道疾患としては、胆嚢結石、総胆管結石、胆管癌、膵癌などがあります。当科は、総胆管の胆石に対し十二指腸カメラを使って取り出す治療法(内視鏡的乳頭切開術・EST)を積極的に行っている施設のひとつです。また、膵癌や胆道癌に対しての超音波内視鏡検査を使っての細胞検査(EUS-FNAB)も積極的に行い、早期診断に大変有効な成績を上げています。また、膵癌や胆道癌による閉塞性黄疸に対するステント留置術など最新の治療もおこなっています。当科は、高い内視鏡技術を評価され、日本消化器内視鏡学会認定施設、日本胆道学会認定施設に指定されています。無論、当科は広島地方でのリーダー的存在の施設のひとつです。

下部消化管

下部消化管疾患としては、大腸ポリープ、大腸癌などの腫瘍性疾患に加え、潰瘍性大腸炎やクローン病といった炎症性腸疾患があります。大腸の各種疾患に対する特殊光拡大観察はその診断に大きな成果をあげています。大腸ポリープや早期大腸癌に対する内視鏡的粘膜切除術(EMR)や大腸内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)は、日常診療で多数おこなわれています。炎症性腸疾患の治療法として白血球除去療法につきましても当科は早くから潰瘍性大腸炎にこの治療法が有用であることを確認し、ずいぶん以前から臨床応用しています。

当科の特色

広島総合病院消化器内科は、日本消化器病学会認定施設、日本消化器内視鏡学会認定施設、日本老年医学会認定施設、日本肝臓学会指導施設、日本胆道学会認定施設、PEG在宅医療学会専門指導施設に指定されています。これらの指定は学会が認めた高度な良質医療が提供できることを示しています。
さらに当科では、高度医療の実践のみならず、患者さんのQOL(生活の質)を最大限に考慮した治療を心がけています。それは、まず正確に診断し、患者さんや御家族に充分納得のいく説明をさせていただくことです。その上で完治をめざした最先端の治療方針から、症状や生活の質を重視した治療(例えば緩和ケア)までを境目なく提供するということです。われわれは最先端の内視鏡的治療から緩和ケアまで個々の患者さんを全人的に加療していく方針をとっています。

当科は、広島西部地域を中心として近隣病院や開業医等かかりつけ医の先生方との連携を重視しています。その為に数多くの勉強会や研究会などを開催しお互いの知識と技術の向上など研鑽を重ねています。広島総合病院消化器内科は、地域完結型の医療をかかりつけの先生方とともに、地域住民の方々へ最良の医療を提供しています。