ホーム診療のご案内診療科一般外来腎臓内科ニュース・お知らせ常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)に...

腎臓内科

ニュース・お知らせ

常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)について

2016年10月15日

常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)とは腎臓に多発性嚢胞を形成する遺伝性疾患であり、最も頻度の高い遺伝性腎疾患です。両方の腎臓にできた多発性の嚢胞が徐々に大きくなり、進行性に腎機能が低下する疾患であり、約50%の人が腎不全に至ります。わが国の患者数は約35,000人と推定されており、わが国の透析患者における導入原疾患割合の3%程を占めています。今までは有効な治療法は存在しませんでしたが、平成26年3月26日より、常染色体優性遺伝型多発性嚢胞腎に対して、経口薬剤であるサムスカ錠(トルバプタン)が処方できるようになりました。この薬剤は、日本を含む世界規模の治験により、腎臓の嚢胞が大きくなるのを抑制することが証明されています。これにより、腎機能の低下や、血尿・嚢胞感染などを抑制できる可能性があります。
ADPKDに患者さんのうち、①腎容量が大きい(両腎容量750ml以上)、②腎容量の増大が早い(年増大率5%以上)、③腎機能が比較的保たれている(eGFR 60以上)患者さんに対する大規模臨床研究にて、トルバプタンによる有意な腎容量増大抑制および腎機能低下抑制効果が示されており、最近になりADPKDに対するトルバプタン治療は全国的にも急速な広がりをみせております。この薬剤を服用していただくためには、病気や治療に対して十分な知識を持つ専門医師のもとで、詳しい説明や検査を受けた患者さんが対象となります。当科では、この新しい治療薬を安全に服用していただけるように、スタッフ一同で態勢を整えております。また、当院では治療の相談だけでなく、多発性嚢胞腎についての遺伝相談等も受け付けております。

一覧へ戻る