乳腺外科

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デンスブレストについて

2020年8月24日

 マンモグラフィは死亡減少効果が科学的に実証された唯一の乳癌検診のモダリティです。しかし、マンモグラフィの抱える問題の一つが"デンスブレスト"(高濃度乳房)です。マンモグラフィでは、乳腺組織が白く写し出され、腫瘍も同様に白く写るため、乳腺濃度の上昇に伴って乳癌の検出率は低下することが知られています。
 マンモグラフィガイドラインでは、乳腺実質と脂肪の量から"乳房の構成"を4つに分類しています。脂肪性(ほぼ脂肪)、乳腺散在性(脂肪部分が70-90%)、不均一高濃度(脂肪部分が40-50%)、高濃度(脂肪部分が10-20%)と定義されています。同ガイドラインでは"不均一高濃度"、"高濃度"を"デンスブレスト"と定義することを妥当としています。検診受診者の約40%が"デンスブレスト"に分類されると推定されています。
 "デンスブレスト"に対して有効性が期待される検査方法として乳房超音波検査があります。乳房超音波の有効性を検証するために、日本で2006年より40代女性を対象に、マンモグラフィに超音波検査を"併用する"群と"併用しない"群との間で無作為比較試験(J-START)が行われました。その結果、特異度は軽度劣るものの、感度は超音波検査を"併用する群"で有意に高くなったことが報告されました。しかし、超音波検査を加えたことによる科学的根拠を示す"死亡率減少効果"が明らかになるにはさらに時間が必要です。
 アメリカでは、一人の患者さんによる運動が広がっていき、半数をこえる27州において検診受診者へ"乳房の構成"の通知を義務づける"乳腺密度告知法"が制定されました。各州によって異なりますが、通知後は追加検査の紹介や保険によるカバーなどの対策がとられています。日本においては、すでに"任意型検診"で乳房超音波を多くの施設がおこなっており、そのための精度管理マニュアルも出版されています。しかし、公的資金が使用される"対策型検診"での"デンスブレスト"への対応は、科学的根拠がまだ得られていないことや人的資源と社会資源の確保の問題もあり、現在議論の途中であり、今後の動向に注目したいと思います。

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