小児食物アレルギーの領域で近年注目されている問題点とトピックスについて、以下に話題提供いたします。
- 食物アレルギーは成長期にある乳幼児に多くの患者さんが存在する病気であり、不必要に厳格な除去を行うと、栄養不良をきたす可能性のある病気です。
--治療の原則は必要最小限の確実な食物制限であり、的確な診断と栄養指導が必要です--
- いったん食物アレルギーと診断された後、診断された食品はいつまでも飲食できないものと誤解し、実際には、年齢とともに飲食できるようになっているのに、年長となっても飲食しておられないお子さんがいらっしゃる点が問題です。
--学校や保育園での給食提供に問題となっており、除去解除のための的確な再評価が必要です。--
- 昨年12月に東京調布市の牛乳アレルギーのある小学生が、給食で誤ってチーズ入り食品を食べたため、食物アレルギーの症状であるアナフィラキシーショックをおこし死亡されていますが、食物アレルギーは、このような、重症の状態を引き起こす可能性も秘めた病気です。
--アナフィラキシー(食物アレルギーの症状である皮膚症状、呼吸器症状、消化器症状、粘膜症状が複数同時におこること)を起こす可能性のある患者さんは、アナフィラキシーに血圧低下を合併するアナフィラキシーショックに備えて、病院外で症状が起こった場合の対応について指導を受けておくことが必要です--
以上の問題点を、クリアするには、専門小児科医の的確な診断と、治療、食事指導が必要です。
- 近年、食物アレルギーのお子さんに、原因食物を少量から徐々に増量しつつ食べていただき治療する「経口免疫療法」がメディアで報道されています。この治療は、確かに画期的なものであり、当科でも検討していますが、その有効性やリスクについての検証が不十分で、研究的な段階の治療です。これからの研究の進展が待たれます。
JA広島総合病院小児科では、以上の問題点、トピックスに対応した診断治療を行っていますので、皆様のご相談をお待ちしています。