小児科
小児科
子どもの発達と成長をその家族と共に見守り、可能な限りの援助とトータルケアを実践します。
少子化が進む中、次世代に希望を与える医療を目指しスタッフ一丸となり治療させていただきます。
地域の開業の先生からの紹介患者は原則当科で最後まで治療を行うことを前提としておりますが、一部重症患者の対応におきましては広島大学病院やその関連病院と綿密な連携をとって診療にあたります。
小児感染症、小児アレルギー、小児神経(てんかん、熱性痙攣)、小児循環器(川崎病)、小児内分泌(低身長)、小児心身症、発育・発達遅延に対する療育指導、乳児検診、予防接種
広島総合病院小児科の診療スタッフは、常勤医師4名、嘱託医師2名の計6名により外来、病棟診療を行っています。6名全員が小児科専門医資格を有し、サブスペシャリティとして、日本アレルギー学会専門医、日本腎臓病学会専門資格を有する医師が在籍しています。感染症診療などの一般的な小児科診療に加え、アレルギー疾患、腎・泌尿器疾患領域においては、特に専門性の高い診療も可能となっています。
心臓外来(心エコー検査)・予防接種・乳児検診については事前の予約が必要となります。平日午前の一般外来では、その他の専門領域の診察が可能です。詳しくは受付までお電話でお問い合わせ下さい。(代表0829-36-3111)
なお、誠に申し訳ございませんが、当科は常勤医師が4名しかおらず、夜間救急患者さんの受け入れは困難です。ご理解のほどよろしくお願いします。
主に乳児期より発症するアトピー性皮膚炎は、アレルギーマーチの最初の段階にあたり、この病気の重症度や罹病期間は、将来的な気管支喘息やアレルギー性鼻炎の発症リスクの増加と関係することがわかっています。またアトピー性皮膚炎における皮膚バリア機能の低下は、食物抗原の経皮感作を誘導し食物アレルギーの発症につながります。生後早期からの保湿剤を積極的に用いたスキンケアが、アトピー性皮膚炎や食物アレルギーの発症予防に有効であるエビデンスも増えつつあります。当科では、これまで外用治療の中心であったステロイド薬以外にも、新しい抗炎症外用薬(JAK阻害薬、PDE4阻害薬)を用いて、副作用を必要最小限とすることを心がけています。
食物アレルギー診療に関しては、被疑食物を用いた経口負荷試験による正確な原因食物の診断及び必要最低限の除去を行い、栄養面での問題を最小限にするとともに、近年は早期の耐性獲得を目的として、原因食物を普段から少量ずつ継続摂取する経口免疫療法も行っています。アメリカなどでは、ピーナッツアレルギーに対する経口免疫療法治療薬がすでに実臨床で使用されています。また、承認待ちの段階ですが、同じくピーナッツアレルギーに対するより安全性の高い、経皮免疫療法治療薬も開発されています。
予防の観点からは、現在一部の食物(卵、乳製品、ピーナッツ)に関して、生後早期からの経口摂取の導入が、その食物のアレルギーの予防に有効なことがわかっています。乳児健診などを通じて、食物アレルギー予防に関する正しい知識の啓蒙にも努めています。
小児の気管支喘息治療は、2000年代に入り気道炎症をターゲットにした吸入ステロイド薬が薬物療法の中心とり、臨床症状のコントロールが大幅に改善した結果、喘息発作での入院患者数も減少しています。また重症喘息として管理されていた症例に対しても、新たに生物学的製剤の使用が可能となり、それまで苦しんでいた患者さんや家族の生活のQOLも改善しました。一方で、長期予後に関しては、子どもの頃の喘息の重症度や肺機能低下の有無が、将来成人になった時の喘息のキャリーオーバーやCOPDなど新たな呼吸器疾患の合併と関係していることもわかってきました。当科では肺機能検査や呼気中一酸化窒素濃度測定などを積極的に行い、患者さんの病態を多面的に評価することで、将来の予後改善を目標とした診療を行っています。
今や国策として花粉症対策が取り上げられる時代となりました。アレルギー性鼻炎に対する薬物療法のほとんどは、症状を一時的に和らげることしかできませんでしたが、現在は根本的治癒も期待できる新しい治療法(アレルゲン免疫療法)も見直されています。全身的な副作用の少ない舌下免疫療法は小児においても安全に実施可能であり、当科での治療症例数も年々増加しています。