呼吸器外科

概要・診療方針

概要・診療方針

肺癌で亡くなる人が増えています。現在、日本において"がん"で死亡する原因の第一位は肺癌です。呼吸器外科はそうした増え続ける肺癌に対する外科治療を担当する科です。このような肺癌患者の増加を重視し、2001年10月1日より呼吸器外科を開設し、専門医による診療体制の充実を計っています。

肺癌は最も治療困難な"がん"の一つですが、早期であれば手術だけで治癒可能です。しかし進行がんでは手術だけではなく薬物治療、放射線治療などを組み合わせた治療、いわゆる集学的治療が大事です。こうした点を踏まえて当科では常に呼吸器内科や放射線治療科と連携し、より良い呼吸器外科診療を行っています。

また肺癌死亡を減少させるためには早期発見が必要です。このために当科では健康管理課と協力して胸部CT検診を行っています。
さらに肺癌死亡を減少させるには肺癌になる原因があればそれをなくさないといけません。ひとつの原因と言われるタバコについて、児童期からの予防が大切と考え近隣の小学生児童を対象に防煙授業を行っています。

診療内容

診療対象疾患:肺腫瘍(肺癌など)、縦隔腫瘍、気胸、胸壁疾患、胸部外傷など

当科の特色

【診療】

肺癌に対する縮小手術

肺の外側に位置する2cm以下の小型肺癌でリンパ節転移のないものに関しては区域切除もしくは部分切除という従来よりも肺の切除量の少ない縮小手術を積極的に採用しています。これらは皮膚切開が5cm程度の胸腔鏡併用手術もしくは全てが1.5cm以下のポート孔で行う完全胸腔鏡手術で行っております。術中に局在がわからない可能性の高い肺結節に対しては、術前に気管支鏡下に色素を散布するVAL-mappingを積極的に行い、無駄のない肺部分切除を心がけております。

肺癌に対する集学的治療

縦隔リンパ節という原発巣から離れた同側のリンパ節転移のある肺癌ではまず呼吸器内科・放射線科とキャンサーボードで治療方針を決めています。切除可能と判断した場合でも化学療法や放射線療法を併用し集学的に治療を行います。また近年は進行癌での化学療法で使用していた分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤の術前または術後の使用が可能となり、根治術後の再発率を下げる補助化学療法も当科にて行っています。

その他

外傷後の肋骨骨折に対して、痛みのコントロールだけで無く、保存的治療だけで無く、肋骨の変形の著しいものでは、肋骨ピンやプレートを用いた間欠的整復術も行っております。

【胸部CT検診】

肺癌の早期発見早期治療のために人間ドックのオプションとして行っています。通常のレントゲン写真の検診と比較し約10倍の肺癌発見率と言えます。

【防煙教育】

無償での社会貢献として診療の合間にボランテイアとして近隣の小学校にで喫煙防止教室の授業を行っています。一番重要な予防医療と認識して活動を継続していきます。