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最近の緑内障手術について

2020年1月 1日

 緑内障は眼圧上昇のため視神経が圧迫・傷害され視野が狭くなる疾患です。本邦の緑内障患者数は350万人以上と推定され、40歳以上では5.0%に、70歳以上では13.1%が罹患しています。視神経と視野に特徴的変化を有し、通常、眼圧を十分下降させることにより視神経障害を改善もしくは抑制しうる眼の機能的構造的異常を特徴とする疾患でありエビデンスに基づいた唯一確実な治療法は眼圧下降です。緑内障の多くを占める開放隅角緑内障では点眼治療が第一選択ですが、十分な眼圧下降が得られず手術治療が必要となる患者も多く、日本では2007年に5万件線維柱帯切除術が行われました(白内障の1/20の件数)。しかし、術後感染(5年で2.2%発症)や視機能低下等の合併症が少なからず発症し、また超高齢化社会を迎え認知機能の低下などで緑内障点眼が行えなくなる高齢者も増加しつつあり、より低侵襲で安全な手術の開発が期待されています。低侵襲・極小切開緑内障手術であれば切開創の縫合が不要で、またより小さな切開であるため、手術侵襲が軽減され創傷治癒が早く感染症・出血の危険も少なく、角膜のゆがみ(医原性乱視)もほとんどなく、視力の回復が早いことが低侵襲・極小切開緑内障手術の特徴と言えます。点眼数が減少するのみでも視機能の質(quality of vision, QOV)向上、ひいてはQOL(生活の質)向上に資するところ大です。

 現在本邦で使用可能なものを以下に挙げます。iStentトラベキュラーマイクロバイパスステントシステムを線維柱帯に挿入する流出路手術、カフークデュアルブレードを用いた線維柱帯切開(切除)術、トラベクトームを用いた線維柱帯切開(切除)術、マイクロフックを用いた線維柱帯切開術、ナイロン糸を用いたスーチャートラベクロトミー(線維柱帯切開術)等が行われています。いずれも結膜切開が不要であり低侵襲・極小切開緑内障手術と言えるものです。また、より眼圧下降作用の強い濾過手術(線維柱帯切除術)系の低侵襲・極小切開緑内障手術が行える器具が開発されており、本邦でも早期の認可が待たれます。当院では、マイクロフックを用いた線維柱帯切開術を2016年末から多数例に行っています。

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