臨床研究検査科
臨床研究検査科
血液の総量は体重の約1/13を占め、体重60Kgの成人では4.5~5ℓになります。血液検査室では血液の有形成分(血球)の検査と、液体成分(血漿)から凝固線溶検査などを行っています。
2021年3月新たに多項目自動血球分析装置XNシリーズを導入し、血液算定検査を行っています。血液細胞(赤血球・白血球・血小板)の数と白血球分類、酸素と結合するヘモグロビンの量を同時に分析します。
貧血は赤血球の数が減少することですが、同時に分析した赤血球の大きさやヘモグロビン量、網状赤血球を測定することにより、貧血の原因も検索します。
分析装置では白血球を好中球・リンパ球・単球・好酸球・好塩基球の5種に分類します。それぞれの血球は各種全身の疾患で増減し炎症や免疫状態を評価しています。
塗抹標本を作製して顕微鏡で血球形態を観察します。形態異常のある血球や幼若な細胞、白血病細胞などを検出し病態解析や血液疾患などの評価をします。機械では捉えることが出来ない異常を臨床検査技師が目でみて判定しています。
血液の止血に関する検査は、凝固検査自動分析装置CP3000を2台体制で測定しています。 血漿には凝固線溶因子という血液が血管内で固まったり(凝固)出血したりしないように働く蛋白質が含まれます。凝固因子の働きを調べることで血液の固まりにくさ(出血傾向)や血栓を溶かす線溶因子の働きを調べることで血栓の出現を判定できます。また抗凝固薬の治療効果の確認や薬剤の投与量を決める検査でもあります。
骨髄検査、血球沈降速度、血小板凝集能などの検査を実施しています。
尿は腎臓で血液をろ過して作られています。尿検査は腎・泌尿器疾患の診療だけではなく、全身状態の評価と病気を推測するためのスクリーニング検査です。
○尿定性検査は、試験紙を用いて尿に含まれる成分から体の状態を示す基礎的な情報10項目を短時間で同時に検査します。健康診断で行われる尿蛋白、尿糖、尿潜血検査は尿定性検査の項目です。
○尿沈渣検査は、尿を遠心沈殿させて得た沈渣物を顕微鏡で確認する検査です。当院では自動分析装置も併用しています。膀胱炎では白血球や細菌など認め、腎臓病では赤血球や円柱と呼ばれる特有の蛋白成分などを検出します。また尿路に発生した癌細胞が見つかることもあります。疾患の早期診断、治療効果や薬剤の副作用の判定に役立ちます。
○便潜血検査は、便に血が混入していないかを調べます。当院では便中ヘモグロビン検査を採用し主に腸の出血で陽性となります。大腸がん検診の1次スクリーニング検査としても実施しています。
また、便を顕微鏡で確認し消化吸収状態を確認する便中脂肪検査や寄生虫の検出なども行っています。
輸血の元々の目的は貧血状態の改善のための治療法(循環血液量の維持、欠乏血液成分の補充)です。それが医学の飛躍的な進歩に伴い、私たち人間はABO、Rh式だけではなく、様々な血液型(Lewis、Duffy、Kidd系等)を持つことが判明しました。このような血液型の違いにより輸血に伴う障害(副作用)が数多く報告されるようになりました。
そこで副作用を未然に防ぐため、当検査室では認定輸血技師が輸血に関する様々な情報(輸血副作用、血液製剤使用状況など)の提供、検査技術の向上に努め、当院での安全な輸血をめざし、日々業務を行っています。貧血・出血(事故等)・手術時などの輸血必要時には血液型検査、血液製剤と患者さんの血液とで交差適合試験(クロスマッチ;輸血が可能かどうかの検査)、不規則抗体検査を24時間実施しています。また、輸血に必要な血液製剤の管理も行っています。
▲輸血検査自動機器